1年間の育休から復職してもう半年経つ。育休中は時間が経つのが遅かったが、平日週5日働いてると恐ろしいほど時が経つのがはやい。おそらくこうやってどんどん年を取っていくんだろう。ところで、
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エンジニアってどういう仕事だったっけ。
難題だ。人によって答えは変わりそうである。あえて言うなら、
本質的には「ググる」仕事だったと思っている。
もちろんやっていることはものづくりだ。(企画)、設計、実装、テスト、リリースという開発サイクルで自サービスを運用保守、新規開発していく、といった感じである。
開発サイクルをスムーズに回していく。その過程を土台で支えているのは開発知識であり、開発知識をどこで学べるかと言うと全てインターネット上である。つまり、分からないことに直面したら開発知識をググッて(検索して)調べて解決する。また分からない問題が出てきたらググッて解決する。の繰り返しなのである。調べ方が上手い人は当然生産性が高い。「ググる」を制するものはゲームを制す戦いだったのだ。
全てインターネット上にドキュメントがあるとはいえ、調べる技量と調べたパーツを組み立ててプロダクトにして全体像を理解する必要があったわけで。多少なりともジュニアと中堅、さらにはシニアで力量差が表れていたと思う。
そんな中、育休前にエンジニア界、いや人間界に革命がおきた。「ChatGPT」の登場だ。話題にはなったものの登場直後は半信半疑の人も多く、誰もが飛びついている雰囲気ではなかったと記憶している。管理人もその頃は開発への利用は限定的だった気がする。1年間の育休に入ったのでその間の動向は知らない。
復職したら、あらゆる光景が変わっていた。
1年間の育休から復職し、本格的に業務に戻るにつれてあることに気が付いた。
「ググる」のではなく、「AI」に聞いている。
もう検索すらしていないのだ。今までなら、検索していくつかの情報をまず取ってこなければならない。取ってきて並べた情報を整理して選んで組み合わせて、正解を出していた。AIに聞いたらそれら全てをやってくれる。検索することなく整理した情報を教えてくれる。雛形コードも代わりに書いてくれる。設計も考えてくれる。テストの方法も考えてくれる。ベストプラクティスたるものも示してくれる。分からない領域があっても体系的に丁寧に教えてくれる。何ができて、何ができないなども瞬殺だ。なにもエンジニアに限った話ではない。資料作成や分析、ビジネスアイデアなど、むしろ現段階だとエンジニア外の領域の方が実用的なのではないか。
もちろん、そのまま鵜呑みにするのはまだ危険だ。AIが教えてくれたアウトプットを吟味するプロセスもmustだろう。(鵜呑みにできる時代がすぐそこに来ているかもしれないが。。)とはいえ、生産性の向上や、スキル領域の拡大は計り知れない。まさに文字通りゲームチェンジャーだ。ここ数年で、
「生成AI」を制するものはゲームを制す
戦いに変わった。
管理人が「生成AI」をうまく活用できているか否かは正直分からない。ただ、育休前だったら半年間ではできなかったであろう仕事量を復職後にも関わらずやり切れたのは事実だ。ただ、それは自分だからできたとは言えない。きっとみな、そうなのだ。生成AIを味方につけ、パフォーマンスが上がっているだろう。確実に基準は上がっている。管理人は現在企業の評価格付け的にも普通のどこにでもいる中堅エンジニアだ。おそらくスーパーエンジニア以外のレベル差はどんどんなくなっていくのではないか。「生成AI」が下駄を履かせてくれるからだ。
エンジニア業の変化に感じる寂しさと虚しさ。
AIによるイノベーションにワクワクしてポジティブに受け入れられない管理人はエンジニアに向いていないのであろう。
便利になった。できることも圧倒的に増えた。本来嬉しいはず。でもどこか虚しい。
哲学者パスカルの言葉を借りると、「人間は考える葦だ」
現在、考える局面が明らかに減っている。AIが教えてくれれば考える必要はない。そのほうが本来やりたいことに集中できるとポジティブに捉える声も多いだろう。反面、人間の心理に目を向けるとどうか。少なくとも私は率直に言ってやる気をどんどん失っている。
考えることや創造性よりもAIを活用してはやく正確にタスクを処理するのが求められている。世の中にベストプラクティスたるものがあって、個人の色気や工夫が入る余地はどんどんなくなっていっている。1人の人間が産み出すアウトプットももはやAIに寄りそったものになっていく。その世界観にもはやオリジナリティーは存在しない。あらゆるものが均一化する。常に頭の中で空想を描いているinfpにはつらい世の中到来だ。
歴史を振り返るとイノベーションとはそういうものだろうと賢い人は言うかもしれない。生産性を爆発的に向上させた産業革命やIT革命で世の中に便利さをもたらし、もちろん新たな雇用も産み出した。その傍らで労働者の人間らしさ、不完全さみたいなものが淘汰されていく。イノベーションと労働者の心。バランスが難しい。人間らしさとはなんなのだろうか。このAI時代、人間らしさを再定義する時代が来ているのかもしれない。ビジネスの話は置いておいて、
個人としては、人間らしさを失いたくないと強く思う。